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ベーカリーノート

【開発者インタビュー】素材が持つおいしさを味わえるパンを目指して

事業開発室 商品開発部 部長 五反田 光國事業開発室 商品開発部 部長 五反田 光國

Q.タカキベーカリーONLINESHOPの商品は、すべて通販専用として新たに開発された商品とお聞きしました。その背景を教えてください。

タカキベーカリーのパンはすべて、衛生管理を入念に行った工場で、使う必要のないものをできるだけ使わずに製造しています。それでも、スーパー等へ納品する商品は、常温で4日程度日持ちをさせる必要があり、またコストの問題などもあって、いろいろな制約があります。今回の通販ショップの製品は、こういった制約をなくして「おいしいパンをつくる」ことをチーム全員で目指しました。冷凍してお手元に届けることで、日持ちの問題はなくなりますから、原材料が本来持っている風味を感じていただけるパンになったと思います。

Q.小麦粉の選別と配合に苦労されたそうですね。

パンの開発の方向性は、従来のタカキベーカリーのパンと同じですが、成分がシンプルであるため、深みや味わいを感じさせる配合を一から考え直しています。石臼挽き専用粉、フランスパン専用粉、ライ麦、全粒粉、時にはパスタ用のセモリナ粉も試したりしながら、最適な配合を探しています。最終的には、比較的シンプルなブレンドの方が、安定した味わいになっていると思います。そうやってブレンドした小麦粉をしっかりと水を含ませて練り、自家製発酵種を使って、低温で長時間発酵させています。開発には、工場のみんなが協力してくれて、新しい発見にも出会いながら、結果として「生地がおいしい」パンが実現しました。

Q.冷凍で焼き立てを再現することにこだわったそうですね。

冷凍パンの開発については、タカキベーカリーとしては半世紀を超えて研究を続けています。冷凍パンには、「冷凍生地」を販売する方法と、焼き上げたパンを冷凍する「焼成冷凍」の2つの種類があり、私たちもスーパーやレストラン向けの卸では「冷凍生地」を販売していますが、石窯などの環境でおいしさを閉じ込めて焼いたパンを手軽に召し上がっていただきたいという想いから、まずは「焼成冷凍」での製品をラインナップしています。

事業開発室 商品開発部 部長 五反田 光國

「焼成冷凍」についても、ただ焼いたパンを冷凍するだけでは、パンが劣化する場合があり、冷凍に適した生地の配合や水分量があります。解凍してもパリッとした感じを再現し、皮のはがれを防ぐなど、色々なノウハウを盛り込んでいます。
解凍については、常温の解凍でもおいしく召し上がっていただけますが、おすすめしたいのは電子レンジでの解凍です。タカキベーカリーの通販の商品は、冷凍耐性を持った袋を採用していますので、電子レンジを使うと膨らんで水分を閉じ込めた「蒸す」状態になります。そこから開封されて、オーブントースターなどでパリッと仕上げていただくと、中はふっくら、皮はパリッとした、焼き立てに近い状態を再現していただけます。

Q.おすすめしたい食べ方を教えてください。

どんな食べ方でもおいしいとは思いますが、わが家ではプチバゲットやカンパーニュを軽く焼いて、スライスしておき、ハムと野菜、卵サラダなどの具材を別に用意して、手巻き寿司のように、自分で好きなように挟んで食べており、子どもたちにも好評です。作り立てのサンドイッチはやっぱり違いますから、その日、その時の好きな具材を挟んで食べていただくと楽しいのではないかと思います。自分自身でサンドイッチをつくる楽しさも、食育としても意味があると思います。

Q.通販の商品のなかで、おすすめしたい商品は何でしょうか。

もちろん、どの商品もおすすめしたいのですが、今回の通販の商品の開発で目指した方向性が理解しやすいパンとしては、例えば「ミルクフランス」を試していただきたいですね。実は中のクリームはスーパーで売っている「ミルクフランス」と同じですが、パンの生地は通販オリジナルで、それだけでもパン自体の味わいがかなり違って感じられます。食べ比べていただくと、よくわかるのではないかと思いますね。これからも、皆様の声をお聞きしながら、より楽しんでいただける商品を開発したいと思っています。

おすすめパンセットS

ミルクフランスも入った「おすすめパンセットS」には、同じ生地をつかった「あんバターフランス」も入っています。