らくらく食パン
開発ストーリー

らくらく食パン開発ストーリー

安全にパンを食べたい・・というご要望に応えたい

アンデルセングループで2007年に高齢者施設を対象に食事へのパン提供に関するアンケート調査を実施したところ、93%の高齢者施設で食事にパンが提供されており、81%の施設で高齢者の方々が「パンを食べたい」と要望されている、ということがわかりました。
その一方で、現場のスタッフの方々からパンの提供に対して「誤嚥の危険性が高い」「副食が摂取しにくい」「乾燥しやすい」「普通の食パンは大きすぎる」などの不安が多数寄せられました。
洋食やパン食に慣れ親しんだ高齢者の方々が増えている今、このようにな現場の声にお応えし、高齢者の皆さまにも安心しておいしく召し上がっていただけるパンの嚥下食を目指して開発がスタートしたのです。

ミミまで柔らかい食パンで食事の楽しさを

らくらく食パンの開発にあたって目標としたのは「ミミまで柔らかい食パン」。高齢者施設でパンを提供する場合、現状ではミミを落として牛乳などに浸したりパン粥にしたり、ということが多いのですが見た目でも食パンを食べていることを実感してほしい、食事らしい食事を楽しんでほしい、との想いから製造工程の1つ1つに工夫を重ね、ミミの柔らかさを実現することができました。

噛むことが難しい方にも食べられるやわらかさ

次に、歯が失われたり、噛む力が低下した方が本当に「らくらく食パン」を楽に食べられるのかどうかについて、広島大学大学院医歯薬学総合研究科の吉川先生(当時)にご協力いただき、病院での喫食調査を行いました。 グラフの左側がご自分の歯がある方、右側は、ご自分の歯がなく総入れ歯を使用されている方のらくらく食パンの咀嚼回数です。紫色の棒が通常の食パン、ピンク色の棒ががらくらく食パンの咀嚼回数を示しています。いずれの場合も、咀嚼回数は通常の食パンの約半分となっており、らくらく食パンは噛むことが難しくなった方にも楽に召し上がっていただける事がわかりました。

医療・福祉の専門家に評価された「らくらく食パン」

2009年8月に開催された「第15回日本摂食・嚥下リハビリテーション学会」において、広島大学大学院医歯薬学総合研究科先端歯科補綴学研究室の吉川峰加先生(当時)が「要介護高齢者に食べやすいパンの新開発」という題目で発表され、合わせて企業展示コーナーでタカキベーカリーとしてらくらく食パンを出展しました。
そこで、来場された多くの医師・歯科医師・栄養士などの専門家の方に試食アンケートにご協力いただいた結果、柔らかさ、口溶け、おいしさなどの項目で嚥下食として高い満足度を頂戴するとともに、91%の方々から、所属施設等でらくらく食パンを提供したいとの回答を得ることが出来ました。
さらにこの企業展示については、来場者の投票で選ばれる最優秀企業展示賞を受賞いたしました。
その後、品質面など学会でご指摘頂いた点について改善を進め、2010年2月、パンの嚥下食として「らくらく食パン」発売いたしました。

らくらく食パン 高齢者の方の感想

実際の介護施設で召し上がっていただきました

らくらく食パンをPIAナカムラ病院(広島市佐伯区)とビハーラ花の里病院(三次市)の両施設におられる高齢者の方に食べていただいての感想をご紹介します。

らくらく食パンを召し上がった39名の方から、かみやすさ、飲み込みやすさ、おいしさについて、高い評価を頂戴しました。


高齢者の方のアンケートより
  • こんなにおいしいの初めてです
  • 口を動かさなくても口の中でとけるようだ
  • 皮のところもおいしい
  • 歯の悪い者にはええね。ふんわりとして上出来です
  • こんなにおいしいの初めてです
  • またぜひ食べたい

90%の高齢者の方が完食された、らくらく食パン

ほとんどの高齢者の方が自立でお召し上がりになり、ムセや口腔内残渣も少ないことがわかりました。


介助された職員の方のアンケートより
  • すべて自立で完食されました
  • スプーンで一口ずつ切って食べられてました
  • パンの耳も切りにくそうではなかった
  • この大きさより大きかったら(量が)多いでしょうね